「この中から、好きなストローを1本抜いて!」
ファミレスや居酒屋のテーブルの上、あるいはバーベキューの準備中。そこに余っているストローを数本かき集め、ハサミや手で1本だけ短く切る。そして、主催者が手の中にキュッと握り込んで、上に出た部分の長さが同じに見えるように指で隠す。残りのメンバーが順番にそれを引いて、一番短い(あるいは長い)ストローを引いた人が「当たり(あるいはハズレ)」になる……。
この「ストローくじ」は、特別な準備がなくてもその場にある日用品で1分で作れるため、飲み会の席での役割決めや支払い担当の決定などで重宝されてきました。しかし、この即席で作れる手軽さの裏には、実は「主催者の握り方」や「見え方」に大きく左右されるという、アナログならではの致命的な欠点があります。今回は、私が経験した飲み会でのちょっとしたトラブルをもとに、ストローくじの魅力と落とし穴について考えてみたいと思います。
その場にあるもので解決する、ストローくじの「即興性」
ストローくじの最大のメリットは、何と言っても「その場での即興性」です。事前にクジを印刷したり、箱を用意したりする必要が全くありません。ストローがなければ、割り箸や爪楊枝、あるいはちぎった紙切れでも代用できます。
また、引くときに「ゆっくり引き抜く」ことで、長さの違いが徐々に指先から見えてくる、という独特の緊張感も楽しめます。「あれ?これ長いぞ……?セーフ!」といったような、引き抜く瞬間のスリルは、アナログな道具だからこそ味わえる醍醐味です。
指の隙間から見えたアタリ:ストローくじで起こった気まずいトラブル
しかし、大学のゼミの親睦会で、次に頼むドリンクの注文をまとめて取りに行く「注文係」を決めようとしたとき、このストローくじが原因で場が少し凍りつく事件がありました。
先輩がテーブルにあった黒いストローを数本握り、そのうちの1本だけをハサミで短く切って、手の中に隠しました。そして、後輩である私たちに「ほら、引け引け〜」と差し出したのです。私たちは順番に引いていきましたが、3人目の後輩がストローを引いた瞬間、先輩が握っていた残りのストローが手元から滑り落ち、テーブルの上にバラバラと散らばってしまいました。
慌てて拾い上げようとしたのですが、そのときにある問題が発覚しました。先輩が握っていた手の「指の隙間」から、短いストローの底の部分が丸見えになっていたのです。黒いストローだったため光の加減で影になり、よく観察すれば、どれが短い(ハズレの)ストローなのかが、引く前に分かってしまう状態でした。先に引いた2人は無意識にそれを避けて安全なものを引き、何も気づかずに引いた3人目が短いストローを掴まされてしまっていたのです。「これ、最初から見えてて公平じゃないですよ!」と不満が噴出し、結局その注文決めはやり直しに。親睦を深めるための飲み会なのに、少しギスギスした空気が流れてしまいました。
ストローくじの構造的リスク
- ホストの手元の隠蔽限界: 人間の手の大きさや指の隙間を完全に密閉することは難しく、角度によってはアタリやハズレの位置が事前に漏洩します。
- 物理的な摩擦の不均一: 長さが異なるストローを握ると、短いストローだけが手の中で緩かったり、逆にきつく握られていて引き抜くときの抵抗感(重さ)でどれがアタリか分かってしまうことがあります。
- 仕切り直しの多さ: 引くときにストローが引っかかって、隣のストローも一緒に抜けてしまったり、手から全部落ちてしまったりと、仕切り直しが頻発しやすいのも難点です。
ストローくじをトラブルなく行うためのコツ
もし飲み会やバーベキューでストローくじや割り箸くじを行う場合は、以下のポイントを徹底すると、トラブルを防ぎやすくなります。
スマートなストローくじのやり方
- 「底」を完全に隠す容器を使う: 手で握るのではなく、不透明なコップや空き缶の中にストローを立てて入れ、上に出た部分だけを引かせるようにします。これなら指の隙間から見える心配はありません。
- ストローの端に印をつける: 長さを切るのではなく、ストローの「隠れている側の端」にペンで黒い印などをつけます。長さが同じであれば、握り心地の差(摩擦の違い)が生まれず、引き抜くトラブルも防げます。
- 引く前にシャッフル: 容器に入れた状態で、参加者に見えないように数回回転させて位置をシャッフルし、恣意的な配置を完全に排除します。
まとめ:即席だからこそ、最低限のルールを
手軽で楽しいストローくじ。しかし、その場のノリだけで適当に作ってしまうと、手元の見え方や握り方の癖で「不公平感」が生まれ、せっかくの楽しい集まりに影を落とすこともあります。
即席のアイデアだからこそ、全員が納得できるよう、見せ方やルールにちょっとした気配りを加える。そうした小さな配慮が、その場にいる全員がストレスなく笑い合える空間を作るための第一歩になるはずです。次の飲み会では、ぜひコップを使ったスマートなストローくじを試してみてくださいね。
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